黒タイツの季節、恋が始まる。
朝のホームで、黒タイツを履いた人を見ると季節が変わった気がする。
    吐く息が白くなって、街の色も少し落ち着いてくる。
    風は冷たいのに、あの黒だけが光を吸い込んで、ほんの少し空気をやわらげる。
    どうしてだろう。秋冬の黒タイツって、どこか「安心」に近いんだよな。
夏の素足にはない、ぬくもりのベール。
    それが見えるだけで、寒さの中に“母のぬくもり”を思い出す。
    そんな瞬間があると、なんだか恋の予感に似たものが生まれる。
黒いぬくもりが、心を動かす。
黒タイツって、ただの防寒具じゃない。
    見えないけど、そこに確かに“ぬくもり”がある。
    ナイロンのコーディングで守られているのに、なぜか壊したくなる。
    その微妙な距離感が、心をくすぐるんだと思う。
たぶん俺たちは、無意識に“境界線のあたたかさ”に惹かれてる。
    触れない距離の中にこそ、想像が生まれる。
    そして、その想像の中にあるやさしさが——恋の始まりなのかもしれない。
ほんの数秒で季節が変わる瞬間がある。
最近観た作品の中に、そんな“黒タイツのぬくもり”を完璧に切り取ったものがあった。
    光の入り方、布の張り、足を組み替える仕草。
    たった数秒で、季節が秋に変わる錯覚を覚えた。
黒タイツが持つあの静かな色気。
    それを美しく、正しく描ける作品は多くない。
    でも、このリンク先の世界には、その「やわらかい距離感」が確かにある。
寒いのに、あたたかい季節。
今年も、黒タイツの季節がやってきた。
    風が冷たくなるたび、あの黒に救われる。
    たぶん恋って、こんなふうに“布の上”から始まるのかもしれない。
    触れなくても、そこにぬくもりがある限り。
  
  
  
  


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